人口学研究
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研究ノート
ヴィネット調査を用いた子育て支援策が出生行動に与える効果の研究
松田 茂樹
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2019 年 55 巻 p. 41-53

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抄録

本研究は,出生行動研究に用いられてきた方法を修正したヴィネット調査を用いて,子育て支援策が追加出生意欲に与える効果を分析した。使用したヴィネットカードは児童手当の増額や幼児教育無償化など6つの架空の子育て支援策を組み合わせた8パターン―分析可能な範囲でカードの枚数を減らしている―であり,それぞれのカードに記された支援策が実施された場合の追加予定子ども数を回答者に尋ねた。web調査によって子どもを持つ有配偶男女に対して実施したヴィネット調査のデータを分析するために,マルチレベル分析を適用した。分析の結果,総じて児童手当など経済的支援にかかわる支援策が追加出生意欲を増加させる効果が高いという知見がえられた。本研究で使用した「複数の架空の子育て支援策が書かれた枚数が少ないヴィネットカード」,「web調査」,「マルチレベル分析」の組み合わせは,出生行動に関するヴィネット調査を研究者に身近で,有効な方法にするものである。

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© 2019 日本人口学会
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