2025 年 61 巻 p. 25-33
本稿の課題は,T.R. マルサスの人口論がどのように日本で受容され,解釈されていったかについて論じることである。その際,特に1916年に京都帝国大学で開催された「マルサス生誕 150年記念講演会」に焦点を当てた。この記念講演会は,日本におけるマルサスの人口論の受容において重要な役割を果たした。講演内容は,経済学,歴史学,社会学,人口学などの研究分野における,当時の最先端の知見と動向を反映しており,また最新の統計や人口動態,新マルサス主義の議論までも含んでいる。この講演会は,学術的な議論を超えて,一般社会にも広く学問的成果を届けることとなった。その成功により,その後も定期的にマルサスを記念する講演会や雑誌の企画がなされ,狭い学会や分野の垣根を超える議論の場を提供することとなった。