ニホンウズラの近交系を用い, 雌の生殖器官には有害な影響をおよぼさない程度のγ線を照射 (毎分5Rで150R全身照射) し, その翌日無照射の全きょうだいにあたる雄を交配させた。照射4日後より4週間にわたって産卵率, 種卵取得率, 受精率, ふ化率, 育成率およびこれら5形質を乗じた適応度指数を調べ, γ線照射が近交系の適応度におよぼす影響を検討した。
1) 近交系 (近交係数42%以上) の雌にγ線を照射すると, 主として受精率によい効果がみられ, これによって適応度指数が向上した。
2) 近交系の適応度に対する照射の効果の現われ方に家系間で違いがあり, 特に退化が著しい場合に, より効果的である傾向を示した。
3) 近交系の適応度が照射によって向上した原因について考察した。