日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
未利用エネルギー資源の飼料価値に関する研究
VII. n-パラフィンの有効エネルギー
吉田 実
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1973 年 10 巻 6 号 p. 247-253

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抄録
2種類のn-パラフィンの有効エネルギーを, 肉用種7日齢の雄ヒナ100羽, 雌ヒナ100羽に試験用飼料を6日間給与し, 7点傾斜比法により計算して求めた。サンプル1は, 主として炭素数11~13のものであり, サンプル2は14~16のものである。試験期間中に, 飼料中のサンプル1の92%, サンプル2の17%が蒸発により失なわれることが示されたので, これに対する補正をした場合としない場合について有効エネルギーを計算した。蒸発によるサンプルの消失は, 0.01gまで測定できる秤を使って, 飼料の重量変化を毎日測定することによって確認した。
サンプル1の補正した有効エネルギーは2.5kcal/gで利用率22%であるが, 真の利用率はこれより低いと考えられた。サンプル2の有効エネルギーはほぼ0であった。これらの知見と, 炭素鎖の短かいn-パラフィン程速やかに蒸発することを考え併せると, n-パラフィンを養鶏用飼料のエネルギー源として利用する可能性は低いといえる。
本実験でもN-補正代謝エネルギーを測定したが, 蒸発によるサンプルの消失は, 飼料と排泄物の両方で考えられるので, 測定値は信頼できない。
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