日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ニワトリ精巣の雄性ホルモン合成に及ぼすメラトニンの影響
宇佐見 誠伊藤 暁中村 孝雄田名部 雄一
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1983 年 20 巻 5 号 p. 294-301

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抄録
630日齢の白色レグホーン種の雄ニワトリを明期(11:00)および暗期(23:00)に屠殺し,その精巣ホモジネートを酵素源として10-6M, 10-5M, 10-4Mのメラトニンを添加して,それぞれ14Cで標識した,プレグネノロン,プロジエステロン,17α-ヒドロキシプロジェステロン,アンドロステンジオンおよびテストステロンを基質としてin vitroの代謝実験を行い,代謝物を同定,定量した。本実験の結果,ニワトリ精巣において,メラトニンの添加により,Δ5-3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼとΔ5-4イソメラーゼおよび17α-ヒドロキシ-C17-20リアーゼ活性が抑制されることが,確認された。その結果として,メラトニンは雄性ホルモン合成に抑制的に作用すると考えられた。しかし,ラットにおいてみとめられているメラトニンによる17α-ヒドロキシラーゼおよび17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性の抑制はみられなかった。また,17α-ヒドロキシ-C17-20リアーゼ活性のメラトニン添加による抑制は,明期ではみとめられず,暗期ではみとめられた。殆んどすべての,ステロイドホルモン合成に関係する酵素の活性は,明期(11:00)の方が,暗期(23:00)より高く,このことは,夜間におけるニワトリの松果体からのメラトニン分泌が高いことによると考えられた。
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