日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏の産卵と卵形質に及ぼす23時間明暗周期の影響
内藤 充韮澤 圭二郎小宮山 鐵朗
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1986 年 23 巻 2 号 p. 83-90

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抄録

鶏の産卵と卵形質に及ぼす23時間明暗周期の長期にわたる影響を調べるため,17週齢の白色レグホーン480羽を2群に分け,23時間(15L:8D)と24時間(15L:9D)の明暗周期下で65週齢まで飼育した。23時間明暗周期下では24時間明暗周期下に比べ,産卵率が2~3%減少したのに対し,卵重は1~2g重くなった。卵構成分では卵黄重の増加が最も大きかった。卵殼強度はほとんど同じであった。平均放卵間隔は両環境下ではほとんど同じであったのに対し,個体間のバラツキは23時間明暗周期下で有意に大きくなった。種々の週齢や期間における23時間と24時間の両明暗周期間の遺伝相関は,産卵率0.3~0.5,平均放卵間隔0.5~0.8,卵重および卵構成分0.6~1.0,破壊強度0.7であり,2環境間における遺伝相関は遺伝率の高い形質で高い値が推定された。23時間明暗周期下の181~300日齢で,産卵率が24時間換算で100%を越えた個体が3羽,平均放卵間隔が24時間以下となった個体が全体の15%認められた。このことから,24時間より少し短い明暗周期を選抜環境として利用することにより,産卵性の遺伝変異を拡大して,より優れた遺伝的能力をもつ個体を識別することが可能となると考えられる。

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