日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
初生雛における嗅球除去が摂食,飲水および甲状腺に及ぼす影響
山内 高円一色 泰中広 義雄
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1988 年 25 巻 6 号 p. 349-357

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抄録
孵化直後における嗅球除去が成鶏と同様に摂食量の増加を引き起こすかどうかを検討するために,孵化後24時間以内に両側の嗅球を除去した白色レグホーン種の初生雄雛を用いて,術後15日より130日まで定期的に摂食,飲水,体重および甲状腺について調査を行った。
その結果,嗅球除去鶏は擬似手術鶏と比較して摂食量の増加はみられず,体重にもほとんど変化が認められなかったが,飲水量の減少が観察された。また,甲状腺の組織学的観察においては,嗅球除去鶏で単層立方形の小腔上皮細胞がしばしば観察されたが,特に著しい形態学的変化は認められなかった。
以上の結果から,嗅球-甲状腺系の確立は初生雛の段階では十分完成されていないものと思われる。また,鶏の嗅球は飼料摂取よりも,むしろ飲水行動に重要な役割を果たしているものと推察される。
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