日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
食鳥処理場で使用した爼板,包丁及び作業靴を汚染した細菌の熱湯浸漬による除去
新里 玄徳矢崎 明美濃野 正博吉川 昭仁日越 博信新城 明久古田 賢治
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1994 年 31 巻 6 号 p. 407-411

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抄録

食鳥処理場でブロイラーの解体作業に使用した爼板,包丁及び作業時に履いた作業靴を60, 80及び100°Cに保った湯にそれぞれ30及び60秒間浸漬し,汚染した細菌の除去について検討した。
1. 使用後の爼板から1cm2当り104.7,包丁の柄と刃(金属部分)から104.9及び103.8の菌が検出された。洗剤で洗った後で80又は100°Cの湯に浸漬すると検出された菌数は60°C浸漬の場合に比べ有意に少なく101.0/cm2以下となった。
2. 使用後の作業靴の底から1cm2当り104.6,踵から104.5,爪先から104.0,脛から103.6の菌が検出された。洗浄することなく浸漬を行ったが,浸漬温度が高くなるに従い検出された菌数は減少し,浸漬温度が80°Cの場合検出された菌数は1cm2当り100.3-101.2の範囲にあり,60°Cの場合の菌数101.2-102.5より有意に少なかった。100°C浸漬後には底と踵の菌数は80°C浸漬に比べ有意に少く100.5/cm2以下となった。
3. 爼板,包丁及び作業靴のいずれにおいても60秒浸漬としても30秒浸漬と比べて検出された菌数に差が認められなかった。
以上の結果から,食鳥処理場における爼板,包丁及び作業靴に付着した細菌を除去するには,洗浄した後に温度80°C以上の湯に,30秒以上浸漬するのが実用的と考えられた。

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