日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
天然卵黄着色強化剤の産卵鶏の卵黄色に与える影響
中嶋 隆海外 文一郎岡村 由紀子國松 豊
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1994 年 31 巻 6 号 p. 417-422

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抄録

産卵開始後約8ヵ月経過した産卵鶏に対して,コーングルテンミール(CM),マリーゴールド花弁粉末(MM),パプリカ粉末(PM)およびパプリカ抽出処理物(PE)の4種類の天然卵黄着色強化剤を20日間投与し,卵黄の着色効果を比較検討した。
その結果,すべての着色強化剤は無添加対照区に対して,ロシュのヨークカラーファン値(RCF値)を有意に高め卵黄に対する着色効果を認めた。しかしながら,飼料中のキサントフィルを同量にしたにもかかわらず,RCFは赤色色素に対する感応が強いため,飼料中の黄色系キサントフィルの多いCMとMMは,赤色系キサントフィルを多く含むPMおよびPEよりも,RCF値を高めることはできなかった。
色差計によるイエローインデックス(YI)および赤色度(a値)は,RCF値と同じ傾向が見られ,PMとREが有意に高い値を示し,逆にCMとMMは低い値を示した。黄色度(b値)は,a値と逆の結果が認められ,RCF値の高いPEが最も低い値を示した。
以上の結果から,CMとMMは黄色の着色効果が大きく,PMとPEは赤色の着色効果が大きいことから,RCF値の高い卵黄色を期待するにはPMおよびPEは有効な着色強化剤であることが示唆された。
また,RCFを色差計で測定して得られたYI値,L値またはa値とRCF値との相関については,高い相関が認められたにもかかわらず,一次回帰式によって客観的なRCF値を推定することはできなかった。

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