日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
焼酎粕からのブロイラーの成長促進因子の分離
Luthfi D. MAHFUDZ林 國興尾辻 由貴大塚 彰冨田 裕一郎
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1996 年 33 巻 2 号 p. 96-103

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抄録

焼酎粕中のブロイラーの成長促進因子を明らかにするために3回の実験を行った。実験1では,成長促進因子はエーテル抽出画分にあること,実験2, 3では,カラムクロマトグラフィによりエーテル抽出物からの成長促進因子の所在を明らかにした。実験1では,10日齢のコブ種のブロイラーヒナに焼酎粕のエーテル抽出画分および抽出残渣を含む飼料を,実験2および3では,16日齢のブロイラーヒナにカラムクロマトグラフィーで分離した画分を含む飼料を与えた。成長促進因子の分画にはセファデックスLH-20を充填したカラム(60×750mm)を用い,溶媒としては水,メタノール,二塩化エチレンを混合(10:90:20)して用いた。
その結果,実験1ではエーテル抽出画分を基礎飼料に0.05%混合したとき増体量は有意に高く,飼料摂取量と飼料要求率は,有意に低下した。しかし,0.05%エーテル抽出残渣画分の影響はみられなかった。実験2では,カラムによって4画分が分離された。乾固した後それぞれエーテル抽出画分の0.05%に相当する量を基礎飼料に混合して与えた。画分Iを含む飼料を与えたとき,体重が増加する傾向が見られ,飼料摂取量と飼料要求率は減少した。しかし,画分II, III,およびIVを含む飼料を与えたとき,増体量および飼料摂取量は有意に低下し,飼料要求率は有意に増加した。実験3では,画分Iをエーテル抽出画分の0.025%, 0.05%および0.1%に相当するようそれぞれ基礎飼料に混合し与えた。増体量は試験飼料を与えたときすべて増加し,0.1%区では有意差が見られた。飼料要求率は,試験区において,すべて有意に低くなった。

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