日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏肉の体成分ならびに呈味成分に及ぼす飼育面積および制限給餌の影響
藤村 忍村元 隆行堂浦 勇古賀 秀徳伊藤 弘美利根 尚子門脇 基二石橋 晃
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1997 年 34 巻 6 号 p. 373-381

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抄録

鶏肉成分及び呈味に対する飼養条件の影響を検討した。3週齢の雌ブロイラーを供試し,5週間の飼育処理を行った。処理は,飼育面積と飼料摂取量の2要因の組合せから,飼育面積を対照区の2.5倍とし自由摂取(広面積区),対照区と同面積で摂取量を1/2に制限した区(制限給与区)及び対照区の3処理とした。8週齢時に飼育成績を計測後,放血と殺し,浅胸筋を採取,水分,蛋白質,脂質,灰分,アミノ酸,無機元素及び脂肪酸の分析に供した。また同試料から加熱抽出液を調製し,遊離アミノ酸,無機イオン及びIMPを定量した。その結果,広面積区の飼育成績は対照区と同様であったが,制限給与区は増体重が62.7%,飼料効率が23.3%低下した。肉の水分,脂質,灰分には差は見られなかった。蛋白質は対照区23.5%に対し,他の区が高かった。アミノ酸組成には差は認められなかった。また特異的な変動を示す脂肪酸の存在も認あられなかった。呈味関係成分である遊離アミノ酸においては,制限区のグルタミン酸,リジン,アルギニンが有意に低かった。前報において呈味有効成分と認あられたカリウムイオン,IMP含量には有意差は認められなかった。これらのことから,肉成分は本報告の飼育モデルの影響を受けなかったが,鶏肉の呈味成分では,主呈味成分であるグルタミン酸が影響されたことから,面積及び飼料給与量の飼養条件の相違は,鶏肉の呈味に影響を及ぼす可能性が示唆された。

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