日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ホロホロチョウ及びニワトリの血漿カルシウム,リン及びマグネシウム濃度の放卵周期中における変動
小川 博上原 万里子内橋 宏子桑山 岳人田中 克英
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 36 巻 3 号 p. 181-189

詳細
抄録

ホロホロチョウ(GF)とニワトリ(白色レグホーン種,WL)について,放卵周期中のいろいろな時間における血漿の全(無分画)カルシウム(Ca),無機Ca,全リン(P),無機P,全マグネシウム(Mg),無機Mgの各濃度を測定した。
放卵周期中において,全Ca濃度はGFの方がWLよりも低い値を示したが,無機Ca濃度は逆にGFの方が高い値を示した。全Ca濃度は,GFでは放卵前13時間から減少を示したが,WLでは顕著な変動を示さなかった。無機Ca濃度はGFでは顕著な変動を示さなかったが,WLでは放卵前13時間に減少を示した。全P,無機P及び全Mgの濃度はいずれもGFの方がWLよりも低い値を示したが,無機Mg濃度には顕著な差異は認められなかった。GF,WLの両者共に全P濃度の放卵周期中の変動は認あられなかったが,無機P,全Mg,無機Mgの濃度は放卵前13時間から減少傾向を示した。無機Caが全Caに占める割合はGFの方がWLよりも大きく,無機Pが全Pに占める割合はGFの方が小さかった。無機Mgが全Mgに占める割合はCaの場合と同様にGFの方がWLよりも大であった。
以上の結果は,GF,WLのいずれにおいても血漿のCa,P及びMgの濃度が卵殻形成と関連して変動することを示しており,また,各ミネラル濃度のレベル及び無機のミネラル濃度の全ミネラル濃度に対する比率についてのGFとWL間の差違は,卵殻の性状についての差異をもたらすものであろうと推察される。

著者関連情報
© 日本家禽学会
前の記事 次の記事
feedback
Top