抄録
有輪条虫および回虫に対する抗生物質ホモマイシンの効果を検討し次の結果を得た。
1. ホモマイシンを飼料に0.003%添加して, 有輪条虫に人工感染させたオスヒナ5羽に40日間与えた。添加飼料給与19-28日頃から, ヒナの体外へ排出される条虫の離脱体節片数は減少し始め, 1例では36日目以降, 他の4例では40日目に離脱は停止した。
剖検により, 1例は条虫が完全に駆除されていたが, 他の4例には残存条虫が認められた。しかし得られた条虫24条の中20条は長さ35mm以下で, 成熟体節を有していなかった (実験I)。
2. ホモマイシン0.006%添加飼料を, 有輪条虫に人工感染させたオスヒナ3羽に29日間与えた。添加飼料給与15日目ごろから排出数は減少し始め, 23-29日目に3例とも排出を停止した。しかし, 添加飼料の給与を中止してから9-10日後に, 再び条虫体節片の排出が開始された (実験II)。
3. 実験Iで特に排出数が多く衰弱した1例に, 0.3%ホモマイシン1g(3mg/g) を投薬したところ, 翌日の排出数が著明に増加し元気を恢復した。実験IIにおいて, 体節片の排出が再び始った3例に, 0.3%ホモマイシン1gあるいは2gを, 45日間に12回投薬した。1例では9回投薬後, 2例では12回投薬後に, 体節片の排出が認められなくなり, 剖検により条虫は完全に駆除されたことが確められた。
4. ホモマイシン0.003%添加飼料を, 回虫が寄生している成鶏10羽に給与した。給与3-44日で排泄物中に虫卵は認められなくなり, 9例について剖検した成績は, 完全駆虫6例, オス回虫のみ残存2例, オス, メス回虫残存1例であった (実験III)。
5. 実験I, II, IIIにより, ホモマイシンは有輪条虫および回虫に対して, 駆虫効果を有することが明かとなった。