観光マネジメント・レビュー
Online ISSN : 2436-5033
Print ISSN : 2436-2921
地域連携DMOの活動展開プロセス
DMOとステークホルダーの関係からの考察
大野 富彦
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2022 年 2 巻 p. 46-59

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抄録

本研究は、地域連携DMOが観光地でどのように活動を展開するかについて参考となるひとつのモデルを提示することを目的とする。本研究ではこの目的を達成するために、事例を基にした帰納的な方法で議論を展開し結論を導いていく。つまり、仮説発見型の方法をとる。具体的には、先進的な取り組みを行う3つの地域連携DMO(雪国観光圏、秩父地域おもてなし観光公社、信州いいやま観光局)について、公開資料やインタビューで得られた情報を基にステークホルダーとの関係を見ていき、彼らがどのように活動を展開しているか、そのプロセスを明らかにしていく。また、事例から得られた知見を補強するために、Porter and Kramer (2011)によるCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を手掛かりにして理論的な考察を行う。本研究の実践的・理論的な考察によって、地域連携DMOといっても、その設立背景やメンバー構成等によってステークホルダーとの関係のあり方は異なり、そして、活動展開プロセスも違ってくることが明らかにされる。さらに、観光地の社会的価値の創造(地域活性化)と経済的価値の創造(企業利益の増大)を両立させ得るCSV実践の姿も示される。

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© 2022 日本観光経営学会
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