抄録
本研究の目的は、沖縄在大学出身者の若年層がホスピタリティ産業、特にホテル業へ就職を決定するプロセスを明らかにすることである。そして、若年層への半構造化インタビューを実施し、そこから得られたデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)で分析を行った。その結果、宿泊業へ就職する際に、「観光の認知」「宿泊業就職への阻害要因」「自己認識」「就職の決定」といったカテゴリーが生成された。また、「宿泊業就職のためのキャリアレディネス」に関しては、大学の座学のみならず、大学や業界が実施している就業体験への参加、課外活動を通じた接客の経験、並びに、一見ホスピタリティ産業とは関係なさそうであるが、組織に所属する際に必要な「課外活動を通じた自己鍛錬の経験」をしていることが明らかとなった。同時に、就職の際に影響を与える「代理体験」「言語的説得」(e.g. Hackett & Betz, 1981)に関しては先行研究と異なる結果を得た。