抄録
「目的」炭酸浴が大腿骨頚部骨折術後患者 ( 以下、骨折患者)の運動機能や自律神経活動に与える影響を明らかにする。 「方法」骨折患者 6 名に、10 分間の 36°C淡水浴、36°C炭酸浴 ( 炭酸ガス濃度 1000ppm)、安静座位 (対照群)を行った。前後で膝伸展筋力、足関節背屈可動域、10m 歩行時間を測定した。 別日に、自律神経活動(高周波成分、低周波/高周波成分)、心拍数、血圧、Profile of Mood States( 以下、POMS)を測定した。 「結果」可動域は、炭酸泉前より後で拡大 (p<0.05)し、対照群より淡水群 (p<0.05)、炭酸泉群 (p<0.01)で拡大した。低周波 / 高周波成分は淡水群より炭酸泉群で低かった (p<0.01)。POMS は炭酸泉群で対照群 (p<0.01)と淡水群 (p<0.05)より低かった。 「結論」炭酸浴は、骨折患者の可動域を改善する。交感神経活動が抑制され、リラックス効果が期待できる。