抄録
「目的」急性期病棟における理学療法士等の配置に対する評価として、ADL 維持向上等体制加算が新設された。病棟専従理学療法士の心不全患者への介入効果を検討した。
「方法」病棟専従理学療法士介入前に入退院した 69 例を介入前群、介入後に入退院した 91 例を介入後群とし、患者背景、在院日数、疾患別理学療法処方率、入院から理学療法開始までの日数、入院時・退院時のBarthel Index(BI)、BI利得、BI効率、BIの項目別の改善度について、2群間で比較した。
「結果」入院から理学療法開始までの日数は介入後群で有意に短く、BI 利得、BI 効率は共に有意に高値であった。またBIの各項目において入院期間中に改善した割合は、移乗、トイレ動作、 歩行、階段昇降の項目で有意差を認めた。
「結論」病棟専従理学療法士により早期介入でき、退院時の ADL が改善した。介入効果は立位、 移動に関連する ADL 項目でより高いと考えられた。