抄録
「目的」障害物出現タイミングの違いが障害物回避運動とそれに関連する大脳皮質運動領域の運動準備活動にどのような影響を及ぼすかを明らかにした。
「方法」対象者は若年成人15名とし、4s前(ET)と2s前(LT)から出現する障害物回避運動を課題とした。各条件において脳波記録(EEG)から抽出される運動関連脳電位(MRCP)を評価した。また行動評価として、足趾障害物間距離および足趾と障害物の接触回数を算出した。
「結果」足趾障害物間距離はLTで短縮したが、障害物接触回数はETとLTに有意差はなかった。運動準備電位であるMRCPの早期成分はLTで遅延したが、運動実行を示す後期成分にはETとLTで有意差はなかった。
「結語」障害物の認識が遅れた場合であっても、回避運動に関連する運動野の神経活動を調整することで躓くことなく回避運動を実行することが可能であることが示唆された。