表土剥ぎ取りと客土は東京電力福島第一原発事故後に福島県内で広く行われた農地からの放射性物質の除染法であるが,その実態,特に除染直後の土壌の状態についての情報は限られている。本報では, 2014 年度に環境省による除染が実施された飯舘村O 地区の畑地圃場における,除染作業後の客土層および心土層における137Cs の分布,および除染後の畑地におけるダイズ試験栽培の結果について報告する。2015 年に実施した調査の結果,調査対象とした圃場のほとんどで客土厚が5 cm 以上あり,平均は9.9 cm と,農林水産省による農地除染対策実証事業とほぼ同等であることが確認された。客土層の137Cs 濃度は平均666 Bq kg-乾土(ds)−1 で,その直下の心土層の平均1708 Bq kg-ds−1 よりも有意に小さかった。圃場内,圃場間のバラツキは大きかった。2016 年の調査では客土層の存在は認められず,どの圃場でも既に耕起が行われていたことが分かった。作土層(0~15 cm)の137Cs 濃度は平均1864 Bq kg-ds−1(489~4533 Bq kg-ds−1)と,既報と矛盾はなかった。また,2015 年に同地区の除染後圃場2 か所において,他の作物よりも可食部に放射性Cs を蓄積しやすいことが知られているダイズを試験的に栽培した。その結果,ダイズ子実の137Cs 濃度の平均値(±標準偏差)は7.5(±2.3) Bq kg−1 で,134Cs は検出下限値以下だった。この値は食品中の放射性物質基準値である100 Bq kg−1 を大幅に下回り,除染後農地での営農再開の可能性を示した。