2023 年 3 巻 2 号 p. 2-9
近年,中食需要の増加ならびに自然災害リスクの増大によって加工食品原料の安定供給が社会的課題となっている。本研究では,国内生産量の約半分がデンプンを含む加工用として出荷されるバレイショを対象とし,加工用生鮮野菜のサプライチェーンの頑健性を検討する。まず,ポテトチップス用と生食用のバレイショのサプライチェーンを比較し,災害に対する頑健性の違いと,その違いがどのような要因によって生まれているのかを検討する。次に,加工用バレイショ産地における生産体制をとりあげ,生産者がポテトチップスメーカーに生産物を販売する際のメリットと産地拡大に必要な条件を確認する。調査の結果,生食用では,卸売市場を介した需給調整機能により,柔軟な取引が行われていた。一方,ポテトチップス用バレイショのサプライチェーンは,平時は効率的だが,非常時には脆弱な流通構造を持っていた。この脆弱性を緩和するためには,ポテトチップスメーカーによる生産・集出荷のサポートが,産地拡大に重要な役割を果たしている。