抄録
本研究では,汚泥処理事業による厨芥の消化槽受入施策,剪定枝の汚泥乾燥熱利用施策を,脱水汚泥の増加が焼却・燃料化工程にもたらす影響や,ごみ焼却施設側の排熱発電の高効率化を踏まえて評価することを研究の目的とした.神戸市を対象自治体とし,現有設備の更新が終了する2030年におけるエネルギー消費量,温室効果ガス排出量,リン回収量,事業コストの評価を行った.更新ケース3-C(厨芥:消化槽受入,脱水汚泥:熱分解ガス化・発電,剪定枝:汚泥乾燥熱利用)は,標準的なケース1-A(厨芥:焼却・排熱発電,脱水汚泥:高温焼却)と比較して,年間でエネルギー供給量452TJの増加,温室効果ガス排出量38kt-CO2eq.の削減,リン回収量93t-Pの増加,事業コスト0.9億円の削減が達成できると推計された.