復興農学会誌
Online ISSN : 2758-1160
復興地域を舞台としたフィールド学習ツアーが醸成する 地域への愛着と復興に対する自己効力感に関する研究
統合的ベイジアンネットワークによるアプローチから
杉野 弘明 溝口 勝田野井 慶太朗秋光 信佳
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2024 年 4 巻 1 号 p. 2-23

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抄録

本研究は,東日本大震災と福島第一原子力発電所事故からの復興を進める福島県において2021 9 月から2022 11 月にかけて実施された大学生対象のフィールド学習ツアーを事例とし,その参加者が復興地域への愛着や,復興そのものに対する自己効力感を醸成するかについて調査を行ったものである。ツアー参加前後に行われた質問紙調査から得られたデータの分析を通して,ツアー参加前後における福島への地域愛着や復興への自己効力感に対する指標の変化を定量的に明らかにすると共に,自由記述形式で書かれた文章に対するトピック解析の結果を突合することで,地域愛着や自己効力感の変化の背後にある参加者の思考や意見の変容を可視化した。 前後両調査の全項目中に欠損値等が無かった48 名分の有効回答を分析した結果として,フィールド学習を通して参加者は訪問地域に対する愛着とその復興に対する自己効力感を醸成していることが示された。またそれら変数の関係性を詳細に見ると,自己効力感の醸成には地域愛着の向上が先立つことが明らかとなった。加えて,地域愛着を向上させるためには,事前学習時およびフィールド学習中において復興の歴史や課題に関する情報だけを伝えるのではなく,地域の魅力やより良い未来を志向するポジティブな要素を伝達することの重要性が示唆された。

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© 2024 復興農学会
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