Journal of Reproduction and Development
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原著
黒毛和種雌牛における発情回帰と分娩前後の血中コレステロール濃度変化の関係
米内 美晴下司 雅也坂口 実鈴木 修
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1995 年 41 巻 5 号 p. j1-j8

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抄録

同一の飼養管理条件下で単子を妊娠・分娩・授乳した黒毛和種経産牛22頭(4~7歳)の血中総コレステロール(CHO),トリグリセリド(TG),遊離脂肪酸(FFA)濃度の変化と分娩後の初回発情日数の関係について検討した.供試牛は分娩前8週~ 分娩後12週まで日本飼養標準・肉用牛(1987年版)に従って飼養し,血液サンプルの採材を分娩前は週1回,分娩後は分娩日を0日として,1,3,5,7,10,14日と以後週1回実施した.初回発情は分娩後25~53日に観察された.供試牛を発情回帰日数によって3群(I:分娩後30日未満,II:分娩後30~40日,III:分娩後41日以後)に分け,脂質濃度と体重の推移を比較した.血中FFA濃度および分娩直後を基準とした相対体重は分娩前後を通じて群間に差を認めなかった.このことから,供試牛の飼養管理においてエネルギーの過不足のなかったことが推察された.しかし,分娩後5,28,42~56日の血中CHO濃度および分娩後14,42,63日の血中TG濃度は,I群と群に差が認められ,I群はIII群に比較してCHO濃度が高く,TG濃度が低かった(p<0.05).またI群はII群に比較してCHO濃度に差は認めなかったが,分娩後21,42,49~63日に有意に低いTG濃度を示した(p<O.05).CHO濃度の分娩後における経日的な濃度上昇の傾きと発情回帰日数に有意な相関(r=-0.766,p<0.01)が認められた.以上から,分娩前後の脂質代謝の状態は発情回帰に対して関係を持つ可能性が示唆された.

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© 1995 Society for Reproduction and Development

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