抄録
前報でPMSによる家兎の過排卵誘起にestrogenの前処置が有効なことを報告したので,今回はこの方法を応用していくために,採卵に関して,必要に応じた分割卵子が,いっどの部位から採取できるか,また,この際,estrogen前処置の影響があるかどうかを検討し,っぎの結果を得た。
1)Estrogen前処置した過排卵家兎の卵子は,交尾後60時間までは卵管から採取でき,72時間では卵管および子宮,84時間以降子宮から採取できた。これに対し前処置しない過排卵家兎の場合は卵子の子宮への移行が早く,72時間より子宮から回収され,また,交尾排卵のみの対照家兎の場合は,72時間まで卵管から,84時間以降子宮から採取された。
2)Estrogen前処置過排卵区の採卵率は,交尾後12時間で68%といくぶん低く,以後上昇し80%以上となり,84時間以降は50%以下に低下した。この傾向はestrogenを前処置しない過排卵区も同様であった。対照区は採卵率に経時的な変化はみられなかった。
3)Estrogen前処置過排卵区の卵分割進行の程度は,交尾後12時間で1-cell,24時間で2-cell,36時間では2~16-cell,48時間で16-cell,60時間で32-cell~morula,72時間でmorula~blastocyst,84時間以降blastocystを示した。この結果は,estrogenを前処置しない過排卵区の場合,および正常な交尾排卵の対照区ともほとんど変りなかった。
4)以上のことから,PMSとHCGによる過排卵誘起にestrogenを前処置しても,採卵に関してはなんら支障ないもの推察される。