家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
家畜における性腺刺激ホルモンのImmunoassayに関する研究III.黄体形成ホルモン免疫血清による血球凝集反応および血球凝集阻止反応について
森 純一藤崎 尚徳檜垣 繁光細田 達雄
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1967 年 13 巻 3 号 p. 115-121

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抄録

LHのimmunoassay法として血球凝集阻止反応の手法が応用出来るか否かを検討する目的で,LH免疫血清と牛臓器抽出液および下垂体前葉ホルモンの関係を血球凝集反応および血球凝集阻止反応によって調べた。さらに,血球感作に使用するLH量が血球凝集反応および血球凝集阻止反応の感度におよぼす影響についても検討を加えた。
1.未吸収のLH免疫血清はLH, TSHおよびGHの感作血球と血球凝集反応を示したが,牛血清およびTSHで吸収後のLH免疫血清はLH感作血球と特異的に反応し,LH以外の下垂体前葉ホルモンおよび各種臓器(下垂体を除く)蛋白の感作血球とは反応を示さなかった。
2.下垂体その他臓器抽出液による血球凝集阻止反応においては,下垂体抽出液のみが阻止反応を示し,その他の臓器抽出液では阻止反応が認められなかった。
3.下垂体前葉ホルモンによる血球凝集阻止反応においては,前葉ホルモンのうちLHとTSHのみが阻止反応を示し,FSH, GH, ACTH,プロラクチンでは阻止反応が認められなかった。また,阻止反応を示したLHおよびTSHのうちTSHにおける阻止作用は,TSH標品中に來雑するLHによるものと推察された。
4.血球凝集反応は0.2μg/ml以上のLH濃度の溶液で血球を感作した場合に成立し,その濃度が0.2~50.0μg/mlの範囲では濃度と血球凝集反応の感度との間に一定の傾向が認められなかった。
5.血球凝集阻止反応の感度は,血球感作に使用するL且溶液の濃度が0.2~50.0μg/mlの範囲では,濃度の増加に従って低下する傾向が認められた。

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