家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
分離ストロー形式による牛精液の凍結保存ならびに受胎試験成績
II.液体窒素ガス利用例について
小形 忠司古藤 勝栄帷子 功古川 平吉
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1968 年 14 巻 1 号 p. 26-29

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抄録
液体窒素に空気を送り込んで窒素ガスを発生させ,その冷却力で同一ストロー内に精液と保存液を分離して凍結する,いわゆる液体窒素ガスによる分離ストロー形式凍結保存法を試み,次の如き結果を得た。
1.液体窒素ガス凍結では3~5分で凍結が終了し,凍結操作,精子生存性においてドライアイス凍結よりも有利であった。
2.分離ストロー凍精液の融解ならびに融解後の保存方法としては,5°Cの水で融解し直ちに精液と保存液を混合したものが最も保存性に富み,融解後24時間以内1ならば十分使用可能の見通しがある精子活力を示した。
3.融解後の保存時間と受胎率の関係では,10時間:以内ではほとんど差は認められなかった。
4.液体窒素ガス凍結による分離ストロー凍結精液の受胎率とドライアイス凍結によるその受胎率の比較では,液体窒素ガス凍結が若干良好であった。
5.分離ストロー凍結精液の受胎成績は,乳牛では2,234頭に授精して61.7%,肉牛では296頭に授精して72.6%の受胎率を示し,液状精液のそれに比べ著しい受胎率の向上が認められた。
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