家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
分離ストロー形式による牛精液の凍結保存ならびに受胎試験成績
I.ドライアイス利用例について
小形 忠司古藤 勝栄古川 平吉
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1968 年 14 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

同一ストロー内に凍結,融解過程で比較的精子に障害度の少ない卵黄一糖一グリセリン液で希釈した精液と,融解後の精子の生存に有効な保存液とを分離して凍結するいわゆる分離凍結法を試み,保存ならびに授精試験を実施し次の如き結果を得た。
1.分離ストロー法の冷凍速度はかなり早く,その温度下降曲線は錠剤化凍結法とほぼ同じであった。
2.希釈倍率すなわち精液と保存液の分注割合による精子生存性の比較では,6倍希釈した精液と保存液の割合を0.5ml:0.5mlに分離凍結したものが,3倍希釈して精液と保存液の割合を0.25ml:0.75mlに分離したものに比べ著しく良好な精子生存性を示した。
3.分離ストロー法とストロー法の精子生存性を比較した試験では,分離ストロー法の方が好成績であった。
4.保存液にT.T.F.D.を添加した試験では,添加区が無添加区に比べ精子生存性ならびに授精試験とも好成績であった。
5.分離ストロー凍結精液の受胎成績は,乳牛では1,442頭に授精して61.2%,肉牛では178頭に授精して75.3%の受胎率で,過去3ヵ年間に同一技術者が同一季節に授精した液状精液の受胎率(乳牛47.6%,肉牛60.8%)に比べ,かなり良好であった。
以上の結果から分離ストロー凍結精液は,精子生存性ならびに受胎成績が良好で,他の利点とも合わせ実用価値の高い凍結保存法であると考えられる。

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