家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
14 巻, 1 号
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  • I.腔垢像の連続的観察
    信永 利馬, 中村 勝美
    1968 年 14 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1968/03/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    正しく4日周期を画いているWistar-Imamichi/CSKratの腟垢を3時間間隔で採集し,ギムザ染色した像は写真1~32および33~38のごとくであり,比較的に区分しやすい像の所で区分すると8区に分けることができた。この8区分を今までに一般に用いられている周期の分類にしたがってまとめると次のごとくであった。
    I(写真6~12),II(写真13~14および39, 40),皿(写真15~19),IV-1(写真20~22),IV-2(写真23~26, 33, 34, 35),IV-3(写真27~31, 36, 37, 38),V-1(写真32,1),V-2(写真2~5)。
    以上の分け方にしたがって周期を判定した場合,Wistar-Imamichi ratの各区間の継続時間は表1に示すごとくで,I期はI期の日の約午前1時から午後9時までの約20時問であり,II期はII期の日の約午前0時から午前5時までの約5時間である。皿期は皿期の日の約午前8時から午後9時までの約12時間続き,IV期はIV期の日の約午前0時からV期の日の午前0時までの約24時間であり,V期はV期の日の約午前3時から午後10時までの約20時闇続いた。
  • II.臓器重量の変化および卵の下降の時間経過に伴う変化
    信永 利馬, 中村 勝美, 小島 操, 新谷 参郎
    1968 年 14 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 1968/03/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    4日周期を画くWistar-Imamichi ratの1周期中の卵管内,子宮内の卵検索および子宮や子宮内貯留液,卵巣,下垂体の重量について検討した。
    1)卵管内の卵(第1表,第1図)はIII期の日の午前1時からアンプラ内に検出可能となり,2時には50%,4時には100%アンプラ内に検出され,アンプラ内の卵は大部分が皿期の日の午後8時からIV期の日の午前0時の間にアンプラと子宮の間の卵管に移行し,アンプラと子宮の間の卵管にはI期の日の午後0時まで僅かの例ではあるが観察され,大部分はV期の日の夕刻に子宮へ移行している。
    2)卵管内に検出された卵数はIII期の日の午前4時に12コとなり,以後IV期の日の午後10時までは安定した卵数を示し,その後しだいに減少の傾向を示した。3)卵管のアンプラ内に現われた排卵直後の卵(第1表,写真1~18)は卵胞細胞が著しく多く,その後時間経過とともに減少し,IV期の日の午前2時以後には卵胞細胞のわずかに付着しているものや全く無いものが検出される。
    未受精卵の分割はIV期の日の午前6時(排卵後28時間)から始まり,最初は2分割を示すものが多く,時間経過とともに3コ以上に分割するものが多くなるが最後まで丸のままで分割しない卵もあった。なお異常卵と思われる卵は約3%程度であった。
    4)子宮内の卵は大部分がV期の日の午後2時から8時の問に急増し,I期の日の夕刻から減少し,III期の日の午前2時以後にはほとんど認められなくなる。
    5)子宮重量(第1図)は1期の日が最も重く,III期の日の午前0時から4時まで減少する。
    6)子宮内貯留液(第1図)はV期の日の夕刻から貯留を開始し,I期の日の午後8時に最高となり,III期の日の午前10時以後は認めれなくなる。
    7)卵巣重量(第1図)はI期の日の夕刻から急速に増加を示し,午後10時には最高値を示し,III期の日の午前1時までには重量は減少する。
    8)脳下垂体重量はI期の日の午前10時からIII期の日の午後6時まで重くなる傾向を示したが著しい差異は認められなかった。
  • 佐久間 勇次, 石島 芳郎
    1968 年 14 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 1968/03/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
  • I.ドライアイス利用例について
    小形 忠司, 古藤 勝栄, 古川 平吉
    1968 年 14 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1968/03/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    同一ストロー内に凍結,融解過程で比較的精子に障害度の少ない卵黄一糖一グリセリン液で希釈した精液と,融解後の精子の生存に有効な保存液とを分離して凍結するいわゆる分離凍結法を試み,保存ならびに授精試験を実施し次の如き結果を得た。
    1.分離ストロー法の冷凍速度はかなり早く,その温度下降曲線は錠剤化凍結法とほぼ同じであった。
    2.希釈倍率すなわち精液と保存液の分注割合による精子生存性の比較では,6倍希釈した精液と保存液の割合を0.5ml:0.5mlに分離凍結したものが,3倍希釈して精液と保存液の割合を0.25ml:0.75mlに分離したものに比べ著しく良好な精子生存性を示した。
    3.分離ストロー法とストロー法の精子生存性を比較した試験では,分離ストロー法の方が好成績であった。
    4.保存液にT.T.F.D.を添加した試験では,添加区が無添加区に比べ精子生存性ならびに授精試験とも好成績であった。
    5.分離ストロー凍結精液の受胎成績は,乳牛では1,442頭に授精して61.2%,肉牛では178頭に授精して75.3%の受胎率で,過去3ヵ年間に同一技術者が同一季節に授精した液状精液の受胎率(乳牛47.6%,肉牛60.8%)に比べ,かなり良好であった。
    以上の結果から分離ストロー凍結精液は,精子生存性ならびに受胎成績が良好で,他の利点とも合わせ実用価値の高い凍結保存法であると考えられる。
  • II.液体窒素ガス利用例について
    小形 忠司, 古藤 勝栄, 帷子 功, 古川 平吉
    1968 年 14 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 1968/03/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    液体窒素に空気を送り込んで窒素ガスを発生させ,その冷却力で同一ストロー内に精液と保存液を分離して凍結する,いわゆる液体窒素ガスによる分離ストロー形式凍結保存法を試み,次の如き結果を得た。
    1.液体窒素ガス凍結では3~5分で凍結が終了し,凍結操作,精子生存性においてドライアイス凍結よりも有利であった。
    2.分離ストロー凍精液の融解ならびに融解後の保存方法としては,5°Cの水で融解し直ちに精液と保存液を混合したものが最も保存性に富み,融解後24時間以内1ならば十分使用可能の見通しがある精子活力を示した。
    3.融解後の保存時間と受胎率の関係では,10時間:以内ではほとんど差は認められなかった。
    4.液体窒素ガス凍結による分離ストロー凍結精液の受胎率とドライアイス凍結によるその受胎率の比較では,液体窒素ガス凍結が若干良好であった。
    5.分離ストロー凍結精液の受胎成績は,乳牛では2,234頭に授精して61.7%,肉牛では296頭に授精して72.6%の受胎率を示し,液状精液のそれに比べ著しい受胎率の向上が認められた。
  • 梅津 元昭
    1968 年 14 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 1968/03/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    生後2週令の幼若雌ラットの視床下部を電気的に破壊し,以後の性成熟および成長過程を観察し,以下の成績を得た。
    先端を1mm露出させたステンレス製電極を視床下部破壊に用いたとき,処理により,
    1)成長はやや抑制され,腟開口時の体重は全体的に低くなったが,腟開口日令と開口時の体重の分布の傾斜は無処置のものと大差なかった。
    2)腟開口の早められるものが現われた(平均30.3日,同腹の対照:平均40.1日)。
    3)肥満を伴ない性腺が未成熟の状態に留まるものが生じた。
    切断面のみを露出させた白金電極を用いたとき,処理により,
    1)成長は無処理のものと大差なかった。
    2)前部視床下部を破壊したものは,無処理のものと変らない成長で,腟開口を早めた(平均30.4日,対照:平均36.7日)。
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