家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
巻馬方式による馬の繁殖について
井上 晴夫吉川 友喜菅野 幸夫
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1972 年 18 巻 3 号 p. 81-86

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抄録

重種系統の空胎および未経産の雌馬20頭の群に雄馬を3月下旬から約2ヵ月間導入し,いわゆる巻馬方式により繁殖を行ない次の結果を得た。
1. 20頭全頭に発情徴候が認められ,11頭が受胎したが,その中の9頭は実施期間中の前半に受胎したものと推測された。なお不妊馬のうち7頭では,卵巣,子宮あるいは腟の異常などが観察された。
2. 巻馬実施中,昼間に観察された交尾は8頭延べ9回に過ぎず,受胎成績からみて観察時間外(夜間もしくは早朝)に交尾が行なわれたものと考えられる。
3. 3頭について,交尾は排卵時よりかなり早い時期に行なわれたことが観察されたが,これが巻馬による繁殖では普通のことであるのか否かは不明であった。
4. 発情雌馬と雄馬の遭遇を妨げるような雌馬の存在が観察された。
5. 雄馬の体力の消耗は導入直後から数日間は激しかったが,その後は安定した状態に入り,雌馬に関しては何ら事故は認められなかった。

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