家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
18 巻, 3 号
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  • 井上 晴夫, 吉川 友喜, 菅野 幸夫
    1972 年 18 巻 3 号 p. 81-86
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    重種系統の空胎および未経産の雌馬20頭の群に雄馬を3月下旬から約2ヵ月間導入し,いわゆる巻馬方式により繁殖を行ない次の結果を得た。
    1. 20頭全頭に発情徴候が認められ,11頭が受胎したが,その中の9頭は実施期間中の前半に受胎したものと推測された。なお不妊馬のうち7頭では,卵巣,子宮あるいは腟の異常などが観察された。
    2. 巻馬実施中,昼間に観察された交尾は8頭延べ9回に過ぎず,受胎成績からみて観察時間外(夜間もしくは早朝)に交尾が行なわれたものと考えられる。
    3. 3頭について,交尾は排卵時よりかなり早い時期に行なわれたことが観察されたが,これが巻馬による繁殖では普通のことであるのか否かは不明であった。
    4. 発情雌馬と雄馬の遭遇を妨げるような雌馬の存在が観察された。
    5. 雄馬の体力の消耗は導入直後から数日間は激しかったが,その後は安定した状態に入り,雌馬に関しては何ら事故は認められなかった。
  • IV.成熟ラットの着床ならびに胞胚期におよぼす性腺刺激ホルモンの影響
    石橋 功
    1972 年 18 巻 3 号 p. 87-93
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    成熟ラット590匹を使用して,性腺刺激ホルモンの着床ならびに胞胚期におよぼす影響を検討した。また成熟ラット90匹および未成熟ラット185匹を用いて,溶解後保存したホルモンの効力を,排卵ならびに過排卵を誘起することによってしらべた。
    1.HCG 25および50I. U.を投与して交配し,9日後における着床は,4.2(4/95)および0%(0/60匹)のラットにみられ,無処置の90.6%(58/64匹)に比較して低かった。
    2.HCG 5,10,25,50I. U.およびPMS 20I. U.+HCG 10I. U.を投与後交配し,96~97時間における胞胚期卵子をもったラットの割合は,それぞれ66.7(18/27),25.6(20/78),3.3(2/61),0(0/50)および15.1%(8/53匹)であり,平均着床数は,9.9,6.3,9.5,0および4.6個であった。これに対し,無処置は100%(30/30匹)のラットが,平均10.2個の胞胚期卵子をもった。
    3.以上の結果から,性腺刺激ホルモンの投与が,成熟ラットの着床ならびに胞胚期に対し,種々の程度に悪影響を与えるものと考えられる。また上記の結果は,さきの報告(1970)25)の着床の成績と相当異なるものであるが,その原因を適確に知ることは出来なかった。しかしながら,今回の結果の妥当性からみて,恐らくはさきの報告に実験上の過失,特にホルモンの取扱いを主とした失宜があったのではないかと推測される。
    4.成熟および未成熟ラットの排卵ならびに過排卵を誘起することによって,溶解して0~28日間保存したPMSおよびHCGの効力を検したところ,種々の投与量において保存日数別に,著しい差違はなかった。
  • 百目鬼 郁男, 中原 達夫, 金田 義宏, 山内 亮
    1972 年 18 巻 3 号 p. 94-98
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    性周期の各時期における牛卵胞液中のestrogenおよびgestagen含有量を生物学的方法によって測定して次の成績を得た。
    1)屠場から入手した71頭の卵巣における1頭あたりの平均卵胞数は直経9mm以下のものは性周期の時期によって大差がなかった。直経10mm以上の卵胞は全体の90.1%に存在したが,13~15mmの大卵胞は発情後期~黄体開花期にかけて46例中2例に認めたに過ぎなかった。
    2)卵胞液中のestrogen含有量は1.7~852.5μg/lの範囲にあった。この値は性周期の各時期を通じて大きい卵胞ほど高く,直径6mm以下の卵胞における含有量1.7~13.3μg/lに対し,直径7mm以上のそれでは13.3~852.5μg/lであった。とくに黄体退行期,発情前期~発情期のものにおいては,直径6mm以下の卵胞における含有量1.7~13.3 μg/lに対し7mm以上のそれでは106.6~852.5μg/lとその差がいちぢるしいことを認めた。また直径10mm以上の卵胞では黄体退行期,発情前期~発情期のものは,他の時期の16~32倍の高い含有量を示した。
    3) gestagen含有量は21.1~169.0μg/lの範囲にあったが,この値は黄体初期を除く各時期を通じ,卵胞の大きいものほど含有量が高い傾向がみられた。時期別には発情期および黄体開花期に高く,黄体初期,黄体退行期に低い傾向がみられた。
  • 石田 一夫
    1972 年 18 巻 3 号 p. 99-104
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ハムスターの排卵直後の未受精卵子,排卵後2~3時間の精子侵入卵子および排卵後11~12時間の前核卵子について,Acid Pase, Alk Pase, ATPase, G-6-Pase,5'Ntidase, Etase, SDH, MDH(NAD, NADP), IDH(NAD, NADP),β-HbDH, LDH, G-6-PDH, GDHおよびα-GDHを組織化学的に検出したところ, G-6-PDHと5'Ntidaseを除くすべての酵素の存在が認められた。G-6-PDHと5'Ntidseには基質特異性がみられず,存在を確認することは出来なかった。Alk Pase活性は,未受精卵子では微弱であったが,精子侵入卵子および前核卵子において高まった。その他の酵素活性は,未受精卵子,精子侵入卵子,前核卵子の間に差異を認めることは出来なかった。dehydrogenasesの中では, MDHとLDHの活性が他のものにくらべてとくに高かった。未受精卵子および精子侵入卵子において,ATPaseとEtaseを除くすべての酵素は細胞質に一様に分布していたが,前核卵子において,これらの酵素は核の周辺に集まることが観察された。ATPaseとEtaseは細胞周辺部にみられ,後者は細胞質にもみられた。
    この研究は,VII World Congress on Fertility andSterility, Tokyo/Kyoto,1971において講演した。
  • 石田 一夫
    1972 年 18 巻 3 号 p. 105-109
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    排卵後70~76時間にみられるハムスターの分化8-16細胞卵子について,phosphatases, nonspecific esteraseおよびdehydrogenasesを組織化学的に観察し,8細胞期の卵子およびblastocystと比較した。
    8細胞期の卵子において,Alk Pase活性は強く,ATPaseは中等度, Acid Paseは弱かった。Acid PaseおよびAlk Paseは細胞質に一様に分布していたが,ATPaseは細胞質周辺部に局在していた。G-6-Paseと5'Ntidaseは基質特異性がなく,存在を確認することは出来なかった。分化卵子とblastocystにおいて, AlkPaseとATPaseの活性はinner cellとtrophoblastとの間に差異はみられなかったが,Acid Paseはtro-phoblastよりinner cellに強く現われた。
    Etase活性は,いずれの時期の卵子においても弱かったが,分化卵子とblastocystではinner cellよりtrophoblastにつよくみられた。
    8細胞期の卵子において,MDHとLDHの活性は中等度であったが,その他のdehydrogenase活性は弱かった。分化卵子とtrophoblastにおいて, MDH,β-HbDH, LDHおよびα-GDH活性はinner cell よりもtrophoblastにつよく現われた。SDH, IDH, G-6-PDH,GDHについては,両種の細胞の間に活性のちがいはみられなかった。
    この研究はVII Wold Congress on Fertility and Sterility, Tokyo/Kyoto,1971において講演した。
  • 山本 法
    1972 年 18 巻 3 号 p. 110-112
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1) 0.1%NF添加飼料で飼育した成熟ラットの精巣は,実験開始後14日間で著明に萎縮し,28日間投与例の精細管は精祖細胞とセルトリー細胞だけを残すのみとなった。
    2) NF(250 mg/kg)を幼若ラットに経口的に強制投与した場合,投与後8時間に好酸性変性を示す精母細胞が急激に増加した。
  • 林 正利
    1972 年 18 巻 3 号 p. 113-116
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.妊娠ラットの血液中のprogestin濃度の変動は妊娠8日目に最初の小さなpeakを描き(2.53 μg/ml),妊娠14日に最高値(6.27 μg/ml)に達し,その後分娩期に向って急激に低下する2相性の曲線を示すことが認められた。
    2.妊娠15日に胎児を除去したラットの血液中のprogestin濃度は妊娠ラットのものと差がなかった。
    3.妊娠15日に胎児と卵巣を除去したラットの血液中のprogestin濃度は,術後急激に低下したが,術後3日以降は妊娠ラットのprogestin量との間に差がみられなかった。
    4.妊娠15日に胎児と胎盤を除去したラットの血液中のprogestin量は,術後低下したが,その低下は著しいものではなかった。
    5.妊娠ラット,胎児除去ラヅト,胎児と卵巣を除去したラットの胎盤および子宮組織中のprogestin含有量は,妊娠日数あるいは術後日数の経過にしたがって漸次低下することが認められた。
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