家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛の子宮分泌液に関する研究
X.アルドースリダクターゼおよびケトースリダクターゼの子宮内膜,絨毛膜および胎盤における分布と消長
菅 徹行正木 淳二蒔田 秀夫
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1974 年 20 巻 1 号 p. 7-14

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抄録

牛子宮29例について,子宮内膜,絨毛膜および胎盤中のアルドースリダクターゼおよびケトースリダクターゼ活性を測定し,性周期と妊娠期における消長を調べて,以下の結果を得た。
1.アルドースリダクターゼおよびケトースリダクターゼ活性が性周期および妊娠期の子宮内膜ならびに絨毛膜中で検出された。
2.アルドースリダクターゼ活性は発情期と黄体初期の子宮内膜で高く,黄体中期,同末期および妊娠期には低かった。黄体初期における子宮内膜中アルドースリダクターゼ活性値のピークと子宮液中のソルビトール濃度の急増とは時期的に一致したが,発情期にみられたアルドースリダクターゼ活性値のピークとソルビトール産生の間には関連が認められなかった。絨毛膜中のアルドースリダクターゼ活性は妊娠日数の増加に伴って高くなる傾向が認められた。
3.ヶトースリダクターゼ活性は子宮内膜上皮,子宮腺上皮,小丘頂上部および絨毛膜の栄養膜部で検出され,酵素活性は絨毛膜中の方が子宮内膜中よりも高かった。牛絨毛膜にはソルビトールからフラクトースへの転換能があることが,糖のガスクロマトグラフィーによって確かめられた。
4.牛の子宮内膜および絨毛膜中におけるケトースリダクターゼとアルドースリダクターゼの活性値あるいは組織化学的所見から,子宮乳中のソルビトールは黄体初期(発情後約4~6日)に子宮内膜で生成され,胚子期の絨毛膜中でフラクトースに転換されることが示された。

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