家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛におけるProstaglandinF子宮内注入による性周期同調
中原 達夫金田 義宏百目鬼 郁男山内 亮
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1974 年 20 巻 2 号 p. 62-66

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抄録

放牧牛において,PGFの子宮内注入による性周期同調効果ならびに同期化された発情期における受胎性について検討して,次の成績を得た。
1.放牧牛52頭(ホルスタイン種49頭,黒毛和種3頭)において,黄体期(黄体初期7頭,黄体開花期41頭,黄体後期4頭)に,蒸留水0.75ml溶解したPGF4mgあるいは6mgを,黄体の存在する卵巣と同側の子宮角に注入した結果,処置後2,3および4日目に集中してそれぞれ12頭(23.1%),28頭(53.9%)および5頭(9.6%)が発情した。残りの7頭(13.4%)は処置後9日ないし16日の間に発情した。
2.試験対象牛52頭のうち14頭は,供試前の期間において無発情の,鈍性発情牛であったが,このうち2頭は微弱発情,12頭は明瞭な発情徴候を示したことが注目された。
3.処置後2日ないし4日の間に集中して発情した牛45頭のうち,授精を受けたものは37頭で,このうち27頭(73.0%)が受胎した。
4.以上の成績から,牛の性周期同調技術として,PGFの子宮内注入は優れた方法であることを認めた。

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© 日本繁殖生物学会
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