家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛卵胞液の性状に関する諸観察
和田 恭則紫野 正雄
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1974 年 20 巻 3 号 p. 115-121

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抄録

卵胞液性状について,色調を観察するとともに蛋白分画,尿素態窒素および無機イオン濃度を測定し,次の結果を得た。
1. 卵胞液の色調は,一般に淡黄白色~淡黄色を示し,無色および着色卵胞液を比べた場合,含有成分の濃度が著しく異なることを認めた。
2. 卵胞液中T.P.は血清中のそれより低く,両者間に正の相関関係を認めた。
3. 卵胞液を電気泳動でしらべた結果,アルブミン分画に相当する位置に血清泳動像にはみられない特異的な泳動像を認めた。
4. 卵胞液中B.U.N.は血清中のそれより低く,両者間に正の相関関係を認めた。
5. 卵胞液中Na濃度は血清中のそれより低い値を示すことを認めた。
6. 卵胞液中K濃度は卵胞の大きさに伴い低下することを認めた。
7. 卵胞液K/Naは卵胞の大きさに伴い低下することを認めた。
8. 卵胞液中Mg濃度と血清中のそれとの間には正の相関関係を認め,また卵胞液中Mg濃度は卵胞の大きさに伴い低下する傾向を認めた。
9. 卵胞液の成分は,血清に由来するものがかなりあるが,その濃度は卵胞自身の機能によっても影響されることが示唆された。

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