家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛におけるヨード溶液子宮内注入の性周期におよぼす影響
II.黄体退行因子の産生時期
中原 達夫百目鬼 郁男山内 亮
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1975 年 21 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
牛において子宮粘膜から炎症に起因して産生されると考えられる黄体退行因子の産生時期を検討して,次の成績を得た。
1.ルゴール氏液(ヨード:ヨードカリ:蒸留水=1:2:300)の子宮内注入によって誘起された子宮粘膜の炎症性損傷は,処置後3~4日に組織学的にほぼ完全に修復することを認めた。
2.排卵後3日,5日および7日目から9日目まで,ルゴール氏液を1日2回,連日,子宮内に注入して,この間子宮粘膜の炎症性損傷の修復を阻止すると性周期はいずれも平均17.0~18.0日に短縮した。この性周期の長さは排卵後9日目に1回処置した場合のものとほぼ等しかった。
3.排卵後3日目から9日目までの連続子宮処置において,3日目の処置後3日間この処置を中断して,この間子宮粘膜の炎症性損傷の修復を許した場合の性周期は,排卵後3日目に1回処置した場合のそれとほぼ等しく,平均10.0日であった。しかし中断の期間が1日あるいは2日の場合の性周期は平均16.5日で,連続的に処置した場合のそれとほぼ等しかった。
4.排卵後13日目に1回処置してさらに4~8日後に再処置した場合の性周期は,両処置の間隔が4日の場合には延長し,6日の場合には延長するかあるいは正常であり,8日の場合には正常であった。
5.これらの成績は,子宮粘膜の炎症に起因して産生される黄体退行因子は,炎症性損傷の修復過程,あるいは完全に修復した後の子宮粘膜で産生され,かつその時期は黄体初期では炎症誘起後3~4日であるが,これに比べて黄体後期においては若干遅れることを示している。さらにこの黄体退行因子は産生後約1日の短期間に黄体を退行させうる強力な作用を有することが示唆された。
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