家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛におけるProstaglandin Fならびに妊馬血清性性腺刺激ホルモン併用による性周期同調
金田 義宏中原 達夫百目 鬼郁男
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1975 年 21 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

肉用牛40頭(日本短角種24頭,黒毛和種16頭)において,黄体期に生理食塩液2.5mlあるいは5.0mlに溶解したprostaglandinF(PGF)6mgを黄体の存在する卵巣と同側の子宮内に注入(A群15頭)あるいはこれと同時にPMS500IUを筋肉注射(B群25頭)して,処置後の発情発現状況および初回発情時の受胎性を検討して,つぎの成績を得た。
1.発情発現は,A群では処置後61~72時間に8/15頭(53.3%),B群では49~60時間に11/25頭(44.0%)に集中して起こり,PMSの併用によって発情発現までの時間が短縮することを認めた。しかし,処置後37~96時間に発情が同期化したものは,A群で12/15頭(80.0%),B群では20/25頭(80.0%)で,両群の問に差違はみられなかった。なお,PGFの溶解液量5.0mZ使用群では2.5ml使用群と比べて発情発現が若干遅れる傾向を認めた。
2.発情が同期化した牛における発育卵胞(直径8mm以上)数は,A群で平均1.2個(1~2個),B群では平均1.5個(1~3個)で,このうち排卵したものはB群の1頭が2個であったほかはいずれも1個であった。
3.処置前の授精回数が0あるいは1~2回の牛において,同期化した発情期の授精による受胎率はA群では75.0%(9/12頭),B群では62.5%(5/8頭)であった。しかし,3回以上の授精を受けていた牛における受胎率は33.3%(4/12頭)でかなり低かった。
4.以上の成績から,PGF子宮内注入と同時に低単位のPMSを投与した場合,処置後発情発現は早期に起こるが,性周期の同調効果および同期化された発情時における受胎成績は,PGF単一投与の場合のそれと大差ないことを認めた。稿を終わるに当って,本試験に使用したPGFを御提供下さった冨土薬品工業株式会社,ヒ。一メックスを御提供下さった三共ゾーキ株式会社,ならびに試験実施にあたって御協力戴いた農林省奥羽種畜牧場池田森男場長はじめ関係職員各位に衷心より感謝の意を表します。

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