家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
犬の繁殖生理に関する研究
V.受精卵の分割及び卵管下降
筒井 敏彦
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1975 年 21 巻 2 号 p. 70-75

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抄録

卵が排卵され卵管に進入すれば精子と会合できる条件にするため,実験雌犬19頭を排卵前(雄犬許容36時間目)に1回のみ交配させた。その後,排卵時期を開腹手術によって推定し,排卵後24時間から216時間までを24時間間隔に区分して,卵管,子宮角をそれぞれ3等分し受精卵を採取した。
1.犬の排卵時の卵は第一卵母細胞で排卵後48~72時間の間に卵管内で成熟して第二卵細胞となって受精能を獲得する。
2.受精卵の分割は排卵後72時間までは見られず,96時間で早いものは2細胞期,120時間で3~6細胞卵,144時間で8細胞卵,168時間で8または16細胞卵,192時間で16細胞卵,204~216時間で桑実胚となっていた。
3.受精卵の卵管下降は,排卵後24,48時間では卵管中部,72時間で中間と下部,96~192時間で下部にそれぞれ達し,その後204~216時間では桑実胚となって子宮内に進入する。
4.実験犬19頭中3頭(15.8%)において前回の発情に排卵されたと思われる卵が発見され,卵管下部に6ヵ月以上も残留していたとみられることがらが観察された。

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© 日本繁殖生物学会
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