抄録
未受精期から胞胚期までのハムスターの卵子についてPGDHの組織化学的検出を試みた。酵素の検出は基質にPGA1,PGA2,PGE1,PGE2,PGF1α及びPGF2αを用いNISSEN&ANDERSENの方法を一部修正(リン酸緩衝液のモル濃度を0.033から0.1に修正)して行った。得られた成績はおよそ次の通りである。
いずれの種類のPGを基質に用いても,PGDHの活性は未受精期から8細胞期までの卵子に常に観察された。それぞれの発生段階の卵子における酵素活性の変化はわずかであった。PGDH活性は胞胚には出現しなかった。以上の結果から,未受精期から8細胞期までのハムスターの卵子はPG代謝を行っているが,胞胚では行っていないことが推察された。