家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
近交系及びF1雌マウス由来卵子の体外受精と受精卵培養
笠井 健吉湊 芳明豊田 裕
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1978 年 24 巻 1 号 p. 19-22

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抄録
当研究室で維持されているC3H/He, Balb/c及びC57BL/6J-at/atの各近交系成熟雌マウス(いずれも実中研由来)とこれらのF1成熟雌マウスにPMSG及びHCGを投与して過排卵を誘起し, JCL:ICR系成燃雄マウスの精巣上体精子を用いて体外受精を行い,さらに体外受精卵の胚盤胞への培養を試みた。培養液は,ピルビン酸0.3mM,乳酸30 mM及びグルコース5.55 mMを含むマウス卵子培養用培地を用い,体外受精から受精卵培養を通して同一条件下で行った(5%CO2,95%空気,温度37°C)。
授精後6時間に第2極体放出の有無で判定した受精率は,Balb/c, C57BL/6J-at/at及びC3H/He近交系由来卵子で,それぞれ69,81及び85%,Balb×C57BL,C3H×C57BL及びC3H×Balb F1雌由来卵子では,それそれ83,85及び82%であった。いずれの系統でも受精卵のほとんどすべて(96~100%)が授精後24時間には2細胞期へ発生した。一方,授精後48時間における4~8細胞期への発生率は,Balb/c, C57BL/6J-at/at及びC3H/Heでそれぞれ28,3.6及び11%と低かったのに対して,Balb×C57BL, C3H×C57BL及びC3H×Balb F1由来卵子でそれぞれ69,83及び93%と高い値を示した。さらに授精後96時間における胚盤胞への発生率はBalb/c, C57BL/6J-at/at及びC3H/Heでそれぞれ3,1及び0%とほとんど認められなかったが,Balb×C57BL, C3H×C57BL及びC3H×Balb由来卵子で,それぞれ30,30及び54%と近交系由来卵子に比較して明らかに高い発生率が得られた。
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© 日本繁殖生物学会
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