抄録
1978年4月から1980年8月の期間に,11~15ヵ月齢のホルスタイン種未経産牛99頭をPMSG3,000~3,500IU及びPGF2α25~30mgによって過剰排卵処理を施した。
90.9%(90/99)は,PGF2α投与後2日以内に発情を認めた。PGF2。投与後1~4日以内に発情を示した95頭に人工授精を行った。これら95頭の直腸検査による推定黄体数は,1~5,6~10,11~15及び16個以上がそれぞれ10.5,30.5,31.6及び27.4%を占めた。黄体数は,処理季節及び供試牛の月齢によって差異を認めなかった。
90頭に対して発情周期の6~9日目(発情日を0日目)に非手術的卵回収を実施した。残り5頭は,子宮頸管狭窄のため採卵器具が子宮に挿入できず卵回収を行わなかった。
卵回収の結果,82頭から平均7.3±4.6個の卵が回収された。このうち4頭からは,未分割卵だけが回収された。残り8頭からは,全く卵が回収されなかった。回収卵数は,黄体数とほぼ並行していた。
回収された卵のうち形態及び発育が正常な受精卵の割合は,発情周期の6,7,8及び9日目に回収した場合,それぞれ67.2,53.3,51.7及び47.2%であった。6日目と7~9日目との間には有意差(P<0.05)を認めたが,7,8及び9日目の問では差異がなかった。また,正常卵の割合は供試牛の月齢,処理季節あるいは黄体数によって差異を認めなかった。