家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
非繁殖季節におけるめん羊の発情誘起と分娩率におよぼすPMSG注射時期と雄羊導入時期の効果
小林 正之福井 豊手塚 雅文小野 斉
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1986 年 32 巻 1 号 p. 32-35

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抄録
めん羊の季節外繁殖におよぼすPMSG注射時期と雄羊導入時期およびhand serviceの影響を検討した。
サフォーク種雌羊85頭を用い,非繁殖季節中の4~5月に,medroxyprogesteroneacetate60mg含有スポンジを9日間腟内に挿入した。雌羊は次の4群に分け,それぞれにPMSG6001Uを注射した。すなわちI群:PMSGを腟内スポンジ除去時(0日)に注射し,試情用雄羊を0日に導入,II群:PMSGを0日に注射し,試情用雄羊を2日前(-2日)に導入,III群:PMSGを-2日に注射し,試情用雄羊を0日に導入,IV群:PMSGを-2日に注射し,試情用雄羊を-2日に導入,した。試情用雄羊導入から腟内スポンジ除去後4日目まで6時間間隔で発情観察を行ない,発情雌羊にはLH-RH類縁物質を100μg筋注し,9時間後にhandserv•ice(4頭の雄羊のうちの1頭を使用)を行なった。また,腟内スポンジ除去後57時間目に雄羊の精液性状を検査した。得られた結果は次の通りである。
1)各群の発情発現率はそれぞれ100,95.2,90.0,85.0%で,試情用雄羊導入時期に関係なく,PMSG注射-2日群は0日群より低かった。IV群の1頭は腟内スポンジ除去24時間前に微弱発情を示した。
2)各群の分娩率はそれぞれ75.0,60.0,66.7,87.5%で,II•IV群間に有意差が認められた(P<0.05)。
3)雄羊別の精液性状および射精回次は分娩率および産子率に影響を及ぼさなかった。
以上の結果から,腔内スポンジ除去2日前にPMSGを注射した場合に認められる発情発現率の低下には,微弱発情および無発情排卵が関係していることが示唆された。また,handserviceは分娩率を低下させない有効な交配方法であると考えられた。
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