家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
妊娠申期ラットにおける卵巣除去による乳汁合成開始時の乳腺組織核酸合成能の変化
大迫 一章太田 克明横山 昭
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1986 年 32 巻 2 号 p. 84-89

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抄録
妊娠中期ラットで卵巣を除去すると,乳汁合成が誘起され,術後16時間以降の乳腺からは乳糖が検出される。この時,同時に乳腺DNA含量に若干の増加がみられ,細胞増殖も起こっていると考えられる。本実験では,卵巣除去後40時間内における乳腺組織の核酸含量及び核酸合成量の変化を調べ,乳汁合成開始と乳腺細胞の増殖との関係を検討した。
初回妊娠Wistar•Imamichi系ラットを用い,妊娠12日に卵巣除去,その後8時間から40時間までのいろいろな時期に供試,乳腺核酸含量及び組織スライスを用いてのin vitro培養下における標識チミジン及びウリジンの取り込みを調べた。
卵巣除去ラットの乳腺DNA含量は,偽手術群のそれより常に高値を示した。術後8時間で既にRNA:DNA比は,明らかに上昇しその後40時間まで上昇を続けた。
卵巣除去群において,顕著な標識チミジン取り込みの増加が術後12~16時間にみられた。一方,RNA合成の増加は術後0~8時間の間で既に始まり,それ以後16時間まで続いた。偽手術対照群では,RNA:DNA比の上昇は起らず,RNA合成の高進は術後16時間でのみ認められた。
以上の結果から,卵巣除去後早期にRNA合成の増加が起こり,少し遅れて細胞分裂に先立つDNA合成が開始することが明らかになった。乳汁合成が術後16時間ですでにみられることより,乳汁合成は,卵巣除去後形成される新しい乳腺細胞において誘起されるというより,むしろそれ以前に存在した細胞によるものと思われる。
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© 日本繁殖生物学会
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