家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
性腺刺激ホルモンを投与した成熟ラットの着床とプロラクチンによるその改善
石橋 功古川 寿郎
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1986 年 32 巻 4 号 p. 188-194

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抄録

調節した照明条件下で飼育した839頭のWistar-Imamichiラットに,10~40IUのPMSG又はPMSG•hCGを投与して,投与量と着床の関係を明らかにした。さらにPMSG•hCG40IU処置ラットの妊娠1~7日にプロラクチンを投与して,着床の改善を図ると共に,血清中のプロジエステロン(P)値を測定して,着床困難の原因について検討した。
1)PMSG(又はPMSG•hCG)10~40IUを投与したラットの妊娠率は,95.0~17.5(90.0~27.5)%で,投与量の増加に伴って低下した(P<0.05~0.001)。2)PMSG(又はPMSG•hCG)20IU処置ラットの妊娠ラット当りの着床数は14.4(16.2)個で,30および40IU処置の着床数10.4および11.0(12.3および10.3)個より有意に高かった(P<0.05または0.001)。3)PMSG投与群とPMSG•hCG投与群の間には,妊娠率および着床数に差がなかった。4)PMSG•hCG40IU処置ラットの妊娠1~7日に7.5~15IUのプロラクチンの投与は,妊娠率(70.0~82.5%)および着床数(15.1~18.7個)を有意に改善した(P<O.05~0.001)。5)PMSG•hCG40IU処置後プロラクチン15IUを投与したラットの妊娠2~8日におけるP値は,152.7~237.2ng/mlの高い値を示した。
以上の結果から,高単位の性腺刺激ホルモンを処置した成熟ラットに対するプロラクチンの投与は,卵巣黄体を刺激してP値の低下を防ぎ,着床を改善すると推測される。

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© 日本繁殖生物学会
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