1993 年 39 巻 6 号 p. j61-j66
要約牛黄体組織片あるいは個々に分離した黄体細胞をin vitroで培養し,これにプロスタグランジンF2α(PGF2α)単味あるいはそれに2,3の添加試料を併用した場合,in vivoでみられるような黄体機能抑制効果がみられるかどうかについて,培養液中に分泌されるプロジェステロン(P)量を目途に検討した.
開花期大の黄体を食肉センターで採取し,次の各培養液中で37C,12,24時間培養して比較した.1)無血清培養液(基本培養液•コントロール),2)PGF2α単味添加培養液,3)PGF2α+牛子宮内膜培養濾液添加培養液,4)PGF2α+牛子宮内膜組織同時併用培養液,5)PGF2α注射牛由来の血清添加培養液,6)HCG十PGF2α添加培養液.
その結果,HCGとPGF2αとの組み合わせにおいて一部Pの産生が反対に促進されたほかは,どの培養液でも,in vivoでみられるような顕著なPの分泌抑制は認められず,生体内での黄体抑制には微妙な諸因子,機序の存在が示唆された.