Journal of Reproduction and Development
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牛胚移植技術の実践と普及
荒木 武紀
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1994 年 40 巻 6 号 p. j131-j136

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抄録
牛の改良,増殖を目的に農家が飼養する多様な受胚牛を対象に胚移植(EmbryoTransfer,以下ET)を試み,その実践と普及に取り組んだ.その結果正常発情確認牛以外に,発情の外部徴候が不明瞭で外陰部より出血を発見した牛(以下出血牛)や直腸検査(以下直検)の黄体や子宮所見での発情を推定した牛(以下推定牛),また多回授精牛を対象に移植した場合でも高い受胎率をあげることができた.すなわち受胚牛の約42%を占めた出血牛でも正常発情確認牛と大差ない受胎率が得られた(57.1%;1,316/2,305対64.8%;730/1,127).
また多回授精牛に対しても,多頭数受胎させることができた(48.3%;343/795).ETは受胎率の低い夏季に重点的に行ったが,A1に劣らない受胎率であった.これらのことが酪農家に認められ普及につながったものと思われた.ETによる生産牛は各種共進会で上位に入賞するものも多く,このことも普及に役立ったと思われた.
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© 日本繁殖生物学会
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