日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-44
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内分泌
スンクスの脳におけるGnRH神経細胞の分布とLHおよびFSH遺伝子のクローニング
*佐々木 有希山本 直之上野山 賀久束村 博子前多 敬一郎井上 直子
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抄録

【目的】脳における性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)神経細胞の分布や、黄体形成ホルモン(LH)ならびに卵胞刺激ホルモン(FSH)を介した排卵制御機構については、これまで多くの動物で報告されているが、交尾排卵動物における詳細な報告は未だ少ない。そこで本研究では交尾排卵動物であるスンクス(Suncus murinus)を用い、GnRH神経細胞と線維の詳細な局在部位を免疫組織化学的に明らかにし、LH及びFSH遺伝子を同定することを目的とした。【方法】供試動物にはKAT系統雌スンクスを用いた。4%パラフォルムアルデヒドにて灌流固定した脳を採取し、25μmの凍結切片を作成した後、抗GnRH抗体(LRH13)を用いて免疫組織化学によりGnRH神経細胞及び線維の分布を解析した。また、スンクスの下垂体を採取しRNAを抽出後、RACE法によりLHおよびFSH遺伝子の同定を行った。【結果および考察】スンクスの脳においてGnRH陽性細胞は終神経節、対角帯垂直肢、内側中隔、視索前野吻側部の正中から内側部に局在していた。GnRH免疫陽性線維は線条体、辺縁系皮質領野、対角帯垂直肢、内側中隔、終板器官、正中隆起、前腹側室周囲核において比較的多く、帯状回、弓状核、手綱核、内側扁桃体においても少数の陽性線維が確認された。GnRH神経細胞及び線維の分布はこれまで報告されている他の哺乳動物の分布とほぼ一致していた。またスンクスのLH遺伝子は435bp、FSH遺伝子は366bpのコーディング領域を持ち、ヒト、マウスのアミノ酸配列とそれぞれ、LH遺伝子61.8、71.5%、FSH遺伝子70.6、67.2%の相同性を示した。これらのことよりGnRHの分布様式やLH、FSH遺伝子の推定アミノ酸配列は交尾排卵動物のスンクスにおいても高く保存されているものと推察された。本研究は生研センター基盤研究推進事業によりサポートされています。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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