日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-67
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卵・受精
コモンマーモセット卵子体外成熟培地へのブタ卵胞液添加の影響
*富岡 郁夫島田 亜樹子吉岡 耕治佐々木 えりか
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抄録

【背景・目的】卵子成熟培地の検討には多数の卵子が必要であるため、卵子の得にくい霊長類では詳細な培地の検討はなされていない。マーモセットは霊長類の中では珍しく多産であり、近年、卵巣刺激法の確立により一度に多数の卵子を得ることができるようになった。そこで我々は、様々な動物種の成熟培地を参考に基礎培養液やサプリメントを検討し、成熟培地の至適条件を決定してきた(第101回日本繁殖生物学会大会発表)。本実験ではブタ卵子成熟培養法を参考に、マーモセット卵子成熟培地へのブタ卵胞液(pFF)添加の影響を調べた。 【材料・方法】12匹の成熟雌マーモセットより卵巣を摘出し、注射針を用いて卵胞を裂き未成熟(GV期)卵子を採取した。得られた卵子を個体毎に2等分し、Waymouth培地(5% FBS、1% ITS、100IU/ml FSH、10ng/ml EGF、1µg/ml Estradiol、0.5mM Na-pyruvate、10mM Sodium lactate、4mM Hypotaurineおよび1mM Glutamine添加)、および10%pFF添加Waymouth培地で体外成熟を行なった。その後、第一減数分裂中期(MI期)および第二減数分裂中期(MII期)への成熟率を比較した。また、得られたMII期卵子は体外受精させ、胚盤胞期までの発生を観察した。有意差検定はχ二乗検定を用いた。 【結果・考察】Waymouth培地で培養した286個のGV期卵子のうち、104個(36.4%)がMI期まで、71個(24.8%)がMII期まで成熟した。一方、10%pFF添加Waymouth培地で培養した291個のGV期卵子は、141個(48.5%)がMI期まで、105個(36.1%)がMII期まで成熟し、両ステージへの成熟率ともpFF添加培地で有意に高い結果となった(P<0.01)。体外受精後の発生成績は、培養液の違いによる差は認められなかった。以上より、マーモセット卵子体外成熟培養にブタ卵胞液の添加が有効であることが示された。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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