重金属を含有する岩盤等が存在する地域において,トンネル工事や山間部における造成工事から発生する掘削ズリから環境基準値を超える重金属汚染が確認され,対策方法の一つとして,現場内における不溶化処理の適用が検討される事例が増加している.筆者らは,大量に発生する「建設系廃棄物の掘削ズリ」の安全な再利用の一助にすべく,実際にトンネル工事において重金属(ヒ素,セレン,ふっ素)による複合汚染が確認された掘削ズリに対するマグネシウム系固化材を用いた固化・不溶化処理の適用性について,室内トリータビリティ試験における検討を行った.その結果,マグネシウム系固化材が,汚染物質に対して高い不溶化効果を発揮すること,長期間にわたり不溶化効果を安定的に持続することが確認できた.