日本繁殖生物学会 講演要旨集
第103回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-28
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内分泌
TtT/GF細胞における下垂体新規転写因子Prx2のプロモーター解析
*石川 晶雄諏佐 崇生加藤 たか子加藤 幸雄
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抄録
下垂体前葉は6種類のホルモンを産生し、生殖をはじめとする様々な内分泌環境を調節する重要な器官である。下垂体前葉は5種類のホルモン産生細胞と、濾胞星状細胞を含む非ホルモン産生細胞から構成されている。特に、非ホルモン産生細胞はホルモン産生細胞の維持・供給を行っていると考えられており、下垂体の機能を理解する上で、非ホルモン産生細胞とホルモン産生細胞の関係性の解明は重要である。
 Paired related homeobox 2 (Prx2)は、我々がブタにおいてFshβ鎖遺伝子上流域に結合する因子としてクローニングした下垂体新規転写因子である。最近のラットにおける局在解析から、主に非ホルモン産生細胞に存在し、その一部は複数の未分化マーカーが共存することを明らかにしており、PRX2の重要な機能が推察される。そこで、Prx2遺伝子の の機能解析の一つとしてプロモーター領域の解析を行った。
 まず、Real time PCRを用いて下垂体株化細胞からPrx2発現細胞を探索した。その結果、Prx2を高発現している株化細胞として、濾胞星状細胞由来のTtT/GFを見出した。そこで、このTtT/GF細胞におけるPrx2上流-4974/+107のプロモーター活性をレポーターアッセイにより解析したが、期待に反して-4974/+107は顕著な活性を示さなかった。そこで、Prx2付近の配列において生物種間での保存性を解析したところ、14箇所の高度に保存されている領域を見出した。これら保存性の高い領域を-4974/+107の上流に組み込んで調べたところ、+2010/+3519は6.5倍の活性上昇を引き起こし、Prx2発現に必要なエンハンサーである事が判明した。
本実験で発見した第1イントロン+2010/+3519を手がかりに、未分化マーカー因子や他の下垂体因子がどのようにPrx2発現を制御するか解析を進める。
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© 2010 日本繁殖生物学会
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