日本繁殖生物学会 講演要旨集
第103回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-27
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性周期・妊娠
ラット子宮におけるFoxa2の時期特異的な発現および局在
*山上 一樹合原 崇文西村 翔久保田 海雄宗 知紀山内 伸彦服部 眞彰
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抄録
【目的】Forkhead box a2(Foxa2)は、肝臓で同定された転写因子であり、肝臓の他肺や膵臓などの多くの器官で発現し、グルコース代謝や器官形成、恒常性維持に関わることが報告されている。また、Foxa2の発現は神経管の形成においてhedgehogファミリー因子に制御されることが報告されており、着床に必須なサイトカインであるIndian hedgehog(Ihh)とFoxa2との関連が示唆されている。しかしながら、子宮におけるFoxa2の発現機構や具体的な機能に関する報告はほとんどない。そこで本研究では、子宮におけるFoxa2の役割を明らかにすることを目的に、性周期および着床期周辺ラット子宮におけるFoxa2の発現について、mRNAおよびタンパク質レベルで解析した。【方法】発情休止期、発情前期、妊娠1.5、3.5、5.5、7.5日目ラット子宮よりmRNAを抽出し、リアルタイムRT-PCR法によって性周期および妊娠初期ラット子宮におけるFoxa2の遺伝子発現解析を行った。また同時期の子宮について、in situ hybridizationによってFoxa2 mRNAの局在を解析した。さらに、発情前期、妊娠1.5、3.5、4.5、5.5、7.5日目ラット子宮を用い、抗FOXA2抗体を用いた免疫組織化学的手法によりラット子宮におけるFOXA2タンパク質の局在を解析した。【結果】ラット子宮においてFoxa2 mRNAが妊娠3.5日目に一過性の発現上昇を示した。さらに、Foxa2 mRNAは腺上皮に局在することが認められた。FOXA2タンパク質は妊娠4.5および5.5日目ラット子宮の腺上皮細胞において強い発現が認められた。また、FOXA2タンパク質は腺上皮細胞の核に局在していた。一方で、腔上皮、間質、筋層における発現は認められなかった。これらの結果は、Foxa2が着床期の子宮、特に腺上皮細胞において重要な役割を持つことを示唆するものである。
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© 2010 日本繁殖生物学会
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