日本繁殖生物学会 講演要旨集
第105回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR1-18
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生殖工学
体外培養系でBrca1の発現を誘起した胚盤胞におけるEgfr、Erbb4、Tinagl1の発現動態
*齋藤 恭佑福井 えみ子吉澤 緑松本 浩道
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抄録

【目的】我々は、マウス体内発生胚盤胞においてbreast cancer 1 (Brca1) のmRNAおよびタンパク質が着床能力獲得胚で高い発現を示すことから、着床能力獲得の指標となることを報告した。さらに、体外受精由来胚盤胞におけるBrca1の発現を誘起する培養系を作出した。一方で、着床能力を獲得した胚盤胞の栄養外胚葉 (TE)では、上皮成長因子受容体であるEgfrとErbb4およびtubulointerstitial nephritis antigen-like1 (Tinagl1)の高い発現が報告されている。そこで本研究では、体外培養系でBrca1の発現を誘起した胚盤胞におけるEgfr、Erbb4、Tinagl1の発現動態を解析した。【方法】体外受精96時間後に得られた胚盤胞を、prolactin (PRL)、epidermal growth factor (EGF)、4-hydroxyestradiol(4-OH-E2)をそれぞれ添加した体外培養系で24時間培養した。Brca1発現を誘起した胚盤胞におけるEgfr、Erbb4、Tinagl1タンパク質発現を免疫蛍光染色により解析した。【結果および考察】PRLは、胚盤胞のTEにおけるEgfrの発現を誘起した。EGFは、胚盤胞のTEにおけるEgfr、Erbb4の発現を誘起した。4-OH-E2添加区では、胚盤胞のTEにおけるTinagl1の発現を上昇させる傾向がみられた。PRL、EGF、4-OH-E2はそれぞれ単独でBrca1の発現を誘起する一方で、Egfr、Erbb4、Tinagl1の発現誘起には差がみられた。本研究により、それぞれPRL、EGF、4-OH-E2は異なる経路でEgfr、Erbb4、Tinagl1の発現に作用することが考えられた。PRL、EGF、4-OH-E2の作用する経路を解析することにより、これら着床関連因子の発現メカニズムを明らかにすることができると考えられた。

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© 2012 日本繁殖生物学会
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